父とルミネと冷蔵庫の夢

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薄暗い室内で、本棚がたくさんある図書館のような建物の中にいる。大きなモニターを館内に持ち込んでいる人物がいた。父だ。

ノートPCを持ってきてはいるが、ノートPCの画面は小さいので外部モニタを使わないと不便らしい。モニターは27インチくらいのサイズだったが、グランドピアノを上から見たときのように湾曲した変わった形をしていて、実質的に使える領域は半分くらいのように思えた。

ここまでどうやって持ってきたのか不思議だったが、台車に乗せて持ってきたという。父はちょうど今から帰るところのようで、モニターを台車に乗せ始めている。持ち運びのためなのか、モニターを分解していて、ディスプレイパネルの背面から基板の一部が露出しているのが見えた。


図書館の外にはまだ雪が少し残っていた。雪と泥が混じり合っているなだらかな下り坂の道を歩いていく。台車を押していた父の姿もモニターも見当たらない。

下り坂が終わり、ここから先は登り坂になっている。今いる場所がくぼみの最下点ということだ。隣にいた妻から、ここで特定の行為をすれば運動エネルギーと位置エネルギーのバランスがちょうど取れて、往復運動がやりやすいんじゃないか、と提案された。しかし妻は自らの発言に恥じらいを感じているようだった。


雪の残る坂道を歩いていると、いつの間にか小学校の中庭あるいは大学のキャンパスに思える場所にいた。新入生を歓迎するような立て看板が多く並んでいる。右近くにあった看板には「手作りボール売ります」と書かれた貼り紙があった。見覚えのあるその字で、この貼り紙を作ったのは自分だということを思い出す。

そういえばずいぶん前にお手玉用のボールを自作していた時期があった。この貼り紙はその頃に作ったものだろう。なんだか妙に恥ずかしい気持ちが湧いてくる。つい貼り紙を剥がしたくなるが、そんなことをすると逆に怪しく思われるのではないか、などと考え、なるべく貼り紙を意識していない素振りで足早に看板の横を通り過ぎた。


ずいぶん早足で歩いていると自覚したときには、もうすでにルミネがある駅ビルに続く地下通路に辿り着いていた。まだ閉店時間ではないが、ルミネは営業していない。休業日とも思われたが、すでに閉店してからしばらく経っているようだ。なぜなら、今まで営業を続けていたルミネを振り返る展示会が開催されていたからだ。

会場にあるテーブルに座っていた中年女性が、父の顔写真入りの身分証明書を手に持ち、やかんに入った熱湯をかけている。身分証を包んでいたフィルムが熱湯をかけられて縮み、複数の層に分離して剥がれていく。

「お父さんは冷蔵庫を全然使っていなかったのね」

そう言って中年女性は自分に語りかけてきた。

身分証明書のフィルムを剥がすことでそのことを知ったのか。それとも以前からの知り合いなのか。中年女性と父の関係の真相はわからなかい。ただ、父と冷蔵庫に関しては確かに思い当たる節があった。

父が「買い物に行ってくる」と言って買ってくるものは、綿棒だったり精製水だったりと、食べ物ではない何かの単品が多く、そもそも冷蔵庫に保存するようなものを買わない印象が強かった。


起床。

ほとんど脈絡のない展開なのに、不思議と覚えていられた。一本の道でつながっている、という感覚があったからかもしれない。