老婆とイルカの夢
love-neniye
喪服を着て新幹線に乗っている。親戚に急な不幸があったのだろうか。新幹線はS県へと向かっている。
S県のS駅にはホテルが直結していて、式場はこのホテルの最上階だという。螺旋状のエスカレーターで昇っていくと、時代を溯っていくのがわかる。昔S県で暮らしていた空気感が漂いはじめる。
ふと隣に、ホテルのスタッフのユニフォームを着ている老婆がいることに気付く。老婆は昔は、魚を飼育を任されていたベテランで、現在では来客にご当地クイズを出す担当になっているという。自分が当時住んでいたころの話ならわかりそうなクイズもいくつかあったが、かなり最近のS県のことが多かったため、ほとんどのクイズはスルーしていた。内容も覚えていない。
最上階にある部屋の中では、生存をかけたサバイバルが始まるところだった。親戚のような知り合い同士であれば、話し合いによって千日手のような膠着状態を意図的に作れるだろうと考えたが、ここに来る知り合いはまだ自分と知り合う前の状態なので(さっきエスカレーターで時代を溯ったため)そういう作戦は通用しない。対面したらすぐさま敵対する未来が見えた。
現在の状況をそう認識したとき、まるで幽体離脱をしたかのように、自分の意識は部屋の外にあった。そして時間が溯っていく。
数分前、エスカレーターに乗る直前の状況。再び老婆に出会ったが、「前回」と異なり老婆は倒れていて、苦しがっている。ただし意識はあるようで、助けはいらないと言う。
しばし老婆の回復を待つ。待っている時間、自分が昔S県で暮らしていたことなどを話したりした。なぜか自分と老婆は大きな油揚げの上にいる。
老婆が静かに起き上がると、辺りの景色はもう海になっていて、油揚げの周りには数頭のイルカが泳いでいる。そういえば老婆は昔魚の飼育を担当していたと言っていたことを思い出す。魚というのはイルカのことだったんだ、と思った。
起床。
知り合いになる前の人物に時間を溯って対面する、という不安が色濃く出ていた気がする。老婆とイルカの組み合わせがとても不思議な印象で、夢っぽい。