ピンクのブヨブヨの夢、高校の学園祭の夢
love-neniye
1
自分は今、自転車に乗って坂道を立ち漕ぎで登りながら、最寄りの駅に向かっている。
以前に受けた調査案件で、電車の往復電子チケットを謝礼にもらっていた。その往復チケットは、電車に乗らない場合にも乗り物に対してなら使えるという。
チケットをこの自転車に適用してみたところ、細い針金の束のようなもの——各一本はギターの弦くらいの細さになっているもの——が座席の後部辺りから生えてきた。何か電動アシスト的な効果を期待したが、そういう効果はないみたいだ。この「尻尾」がどんな効果を生んでいるのかがわからない。金属が地面に擦れる音が次第に煩わしく思えてくる。
坂道はなだらかになることはなく、きつい傾斜が変わらず続いていた。時間がかかっても道の端から端へ、なるべく緩い傾斜になるようなルートを選びながら自転車を漕ぎ続けたが、それも次第に限界が来た。自転車を降り、歩き始めると、もしかしたら最初から歩いた方が早かったかもしれない、と思った。
姉妹と思われる女性2人と、その母親らしき女性が前を歩いていた。おそらく同じ駅に向かっているのだろう。彼女らとは面識がなかったが、歩いて追い越そうとしたときに彼女らと目が合ったので、軽く会釈をした。姉妹は姉が高校生で妹は中学生くらいに見えた。これから母子三人で電車に乗ってどこかに向かうのだろう。考えてみると、この周辺を歩いているのは他に誰もいなかった。昼過ぎの住宅街という感じだったが、まるで人の気配がない。
坂道を登っていくと道を隔てている川があった。川にかかる橋を渡れば駅はもうすぐだ。しかし道には橋がかかっていたと思われる痕跡はあるものの、目の前には橋がない。立ち止まっていると、姉妹と母らも追いついてきた。ただ、向こう岸までそんなに距離があるわけでもなかったので、走り幅跳びの選手なら跳べる気もしてくる。
とはいえ、自分には自転車もあるし、母と姉妹が幅跳びを得意としている感じでもない。ここは回り道になっても、近くにあった階段を下りて道沿いに進み、別の橋を渡るしかないようだ。このあたりから姉妹と母と自分たちが運命共同体になったと勝手に思いはじめる。
急な段差の下り階段は、姉妹の妹のほうがかなり恐がっていた。姉が先に下りて、安全を確かめている。階段には手すりがあるので、それをちゃんとつかんでいれば大丈夫だということを姉は妹に伝えていた。
階段を下りた先の細い道の左側には、なにか蛍光色のピンク色をしたスポンジのようなものが見えた。ピンク色のエリアは公園の砂場みたいな広さだった。その異様な光景を姉妹の姉のほうはかなり気にしていた。姉が足で踏んでみたところ、ブヨブヨした感触があるようだった。さらに強く踏み込むと水がしみ出してくる。吸水スポンジみたいなものなのだろうか。このピンクのスポンジみたいなものが何なのか、とても気になってはいたが、今は駅に向かうことが優先なので道なりに進んだ。
しばらく進むと見晴らしのよい下りの斜面に出た。棚田のような光景のあちこちに一戸建ての住宅が建っているが、なぜかまるで人の気配というか生活感がない。庭などの荒れ具合から、おそらくこの地域全体から人がいなくなってしまったのだと思われる。
廃虚のようになっている住宅の軒先に座り、姉妹と母と一緒に休憩をする。姉のほうが何か立方体状のものを手に持っているのが見える。立方体の一つの面には時計のような針があったので、時計なのだろうと思った。しかし、姉に尋ねてみると時計ではなくチューナーだという。設定した時間になると目覚まし時計のように440Hzの音が鳴るらしい。楽器の音程を合わせるためにわざわざ毎回時間を設定するのは不便だと思う。でも、その手がかかる感じが逆にいいらしい。ゼンマイ式のメトロノームの方が愛着が持てる、とかそういう類いの感じだろうか。
「ところでさっきのピンクのブヨブヨしたやつって何なんですかね」と姉が言う。「あれ、何なんでしょうね」と返答をする。
起床。下半身の半分だけが裸になっていて、おまけに布団からはみ出ていたので、とても冷たくなっていた。
2
高校の学園祭をやっているらしいので、OBとして向かう。同窓会みたいなものも兼ねているらしく、3年生のときに使っていた教室が開催場所になっているそうだ。とくに持参しなければいけないものはなかったのだけど、黒いレゴブロックで作った箱を持っていくことにした。
校門をくぐり、校舎に入る途中で「スクール水着展示やってます」という看板が見えた。今はかなり攻めた展示やってるんだな、とかなり気になったが、向かうのは3年生のときの教室だ。
校舎の中は盛況で、いろんな年代の人でごった返している。おぼろげな記憶を頼りにして校舎の中の教室の位置を探っていく。途中で黒いレゴブロックで作った箱を廊下に落としてしまい、バラバラになってしまった。これを一緒に拾って修復してくれたのは中学のときの同級生だったO君だった。O君と高校は違ったので、奇遇なこともあるもんだね、なんてな会話をしつつ、お礼を言ってから目的地の教室に到着した。
教室に到着はしたのだが、教室の椅子に座っている人たちにまるで心当たりがない。もしかしたら今日は卒業年が違う人たちの会合なのかもしれないと思い、ひとまず帰ることにした。
帰り際、校門をくぐったときに黒いレゴブロックを教室に置き忘れていたことに気付く。もう一回校舎に向かうが、さっきよりすべてが「遠く」なっていて、なかなか校舎まで辿り着けない。
起床。長い夢は書くのがそれなりに大変ではあるけど、不思議な満足感もある。夢ノートはこれで11冊目を使い切った。9月16日から使い始めたのでおよそ2か月弱。