未来で姉妹を探す夢
love-neniye
岩山に囲まれた湖を見下ろせる場所にいる。空はどんよりとした雲に覆われていて暗い。夜ではないと思うが、午前か午後か、今が何時くらいなのか感覚がつかめない。しかし、今がそう遠くない未来に来ていることは確かだ。自分はこの世界で、「ある姉妹とカセットテープを探し出す」という使命を背負っている。
姉妹のうち、姉のほうに関しては、今見下ろしている湖の真ん中にいることがわかっている。湖には一軒家がぽつんと浮かんでおり、その二階のベランダと思われる場所に白い立方体——「ボックス」というのがしっくりくる——が飛び出ている。その「ボックス」の上に、一軒家の住人と思われる老夫婦と、自分がこの未来で探している姉が座っている。いや、座らされているというほうが正しいか。
彼らはなぜこのボックスに座らされているのか。この状況について簡単に説明すると、「天の声からのクイズに答えないと湖に落とされてしまう」からだ。
どうもこの未来は謎の「天からの声」に支配されてしまっているディストピアらしい、ということが体感としてわかってくる。人々は天の声に惑わされ、互いを信用せず、常に争いあっている。しかし、このような状況の中でも、姉妹とその仲間たちだけはこの世界に抵抗しているのだ。
そういう世界と姉妹の存在の意味がわかりかけてきた瞬間、湖に浮かんでいる一軒家が傾き始めた。もともと不自然な「ボックス」をベランダに取り付けているから、バランスはよくない。それにしても、もうシンキングタイムが終わってしまうのか、天の声は無慈悲だ、と思わずにはいられない。無残にも、一軒家と老夫婦だけでなく、姉も一緒に湖の中に沈んでしまった。
「じゃあ、妹のほうを探そう」という自分の気持ちの切り替えの早さに驚きつつ、地下を目指す。
この未来では「天の声」を恐れて、地下のトンネルで暮らしている人が多い。姉妹が率いているレジスタンス的なものの基地も、アリの巣のように地下に張り巡らされたトンネルの中のどこかにあるはず。
しかし、「天の声」に惑わされた一部の人々が、トンネルの中で「電磁爆弾」を爆発させるという事案が起きていて、相当数のトンネルが塞がってしまっているというのが現状だ。理屈はよくわからないが、電磁爆弾による爆発では、土が大きめの粒状の砂に変化してしまう。この性質の変化により、周囲の土壌が固まらなくなってしまうため、トンネルを復旧するのが困難に——事実上は不可能になってしまう。レジスタンス的なものの基地まで、はたして無事にたどり付けるだろうか。
起床。子供の頃、金曜ロードショーかなんかで『ターミネーター2』を見て、「未来って恐いな」と感じていたのを思い出した。