受刑者としての暮らしの夢
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細長い部屋の中にいる。おそらくはどこかの刑務所内だと認識している。
看守による定期チェックがあり、これから室内に異常がないかどうか、一緒に立ち合うところだ。自分のいる部屋は共同部屋で、ふだんは他数名の受刑者とともに過ごしている。彼らがどんな罪を犯したのか(あるいは冤罪なのか)については尋ねたことはないし、これからも尋ねることはないだろう。ただ、その中でも一際異彩を放っている者がいる。NHK教育(Eテレ)に出てきそうな、「ゴン太」の着ぐるみを着た人物だ。茶色い体毛に、大きな赤い鼻が特徴で、「できるかな」とかに出ていたような気がする。
実はこの部屋に小さな少女が迷い込んできている。これから始まる看守による定期チェックで見つかってしまえば、少女は強制的に退去させられてしまうだろう(ただ、そのほうが少女にとってしあわせなのかもしれない、と今なら思える)。
なんとかうまくやり過ごせればいい、とは思ってはいたものの、どうしたらいいのかわからなかった。そんなときに活躍してくれたのが「ゴン太」だった。「ゴン太」は、着ぐるみのスカートに相当する部分に、少女を隠してくれていた。
そもそも着ぐるみを着た受刑者というのがかなりイレギュラーな存在だ。だからこそ、そのイレギュラーに慣れ切っている看守にとっては着ぐるみの中が「死角」となる。「ゴン太」のファインプレーにより、定期チェックは無事に終了した。
少女を隠し通せたお祝いということで、長細いテーブルでK子さんと一緒に食事することになった。テーブルの上には少年ジャンプが置いてある。ジャンプを読んでいた時期はかなり昔のため、読んだことのある漫画はない(ワンピースも読んだことはない)。巻頭カラーの次にあった漫画は、有名な「めろん。」氏によるものらしい。太めのマジックで書いた棒人間が主人公のアクション漫画のようだ。今はこういう勢いのあるシンプルな絵柄が人気なんだな、とか思ったりした。
しかし、いったいこのジャンプのどこが食事になるんだろう、と考えていたところ、雑誌の後半部分を開くと寿司が出てきた(そういえば昔、「アウターゾーン」っていつも後ろのほうにあった気がする、というようなことを思い出す)。どういうことなのか理解できないが、ページを開いたら寿司が出てきた、という以外の表現方法が思いつかない。
出てきた寿司を食べる。しかし、K子さんがこちらをずっと凝視しているので、自分の寿司を食べる仕草がマナー的なものに反していないかどうか、気になって仕方がなかった。
起床。起きたらまた下半身がはだけていた。どうしたら防げるのだろう。