旅行先で知人が車を分解している夢

love-neniye

義理の弟と配偶者の3人で泊まりがけの旅行に来ている。具体的にどこかは確定できないが、坂の多い町であることは確かだ。今まで自分が行った旅行先でいえば、熱海駅の近隣の雰囲気に近いかもしれない。

今夜泊まる予定の場所はホテルという感じではなく、地元の人が住んでいるマンションの一室だ。いわゆる民泊というカテゴリになるのかもしれない。マンション自体のオーナーは別にいて、宿泊施設としての運用は委託された不動産会社がやっているということのようだ。

部屋の中には家庭用とは思えない巨大な冷蔵庫があり、中にはミネラルウォーターやオレンジジュースなどのペットボトル飲料がぎゅうぎゅう詰めで入っていた。たぶん宿泊者が自由に飲んでよいものだと思われるが、それにしてはちょっと多すぎる感じもした。ただその気前のよさみたいなものはありがたく感じる。

窓には張り紙があり、手書きの筆で書いたような字で「近隣のマンション売却予定あり」と書かれていた。連絡先の電話番号も書いてあり、おそらくこの部屋の持ち主と思われる。ここに滞在した旅行者で、この周辺の土地を気に入った人が、別荘や移住先として空き室を買ったりすることを期待しているのだろう。ただしちょっと自分には関係なさそうな話だな、と思う。

まだ日が落ちる前だったので近隣をみんなで散歩でもしようとマンションの外に出ると、大きな声で話している男性がいた。その恰幅のよい男は「3000万で売れる?」というようなこと携帯電話で誰かと話しながら、坂道に駐車されている車を見ているようだ。状況から察するに、その車は電話で話している男のものではないように思える。むしろ停車している他人の車を勝手に売却しようとしているような感じさえある。

男は「じゃあすぐに持ってくわ」と電話先の人物に告げ、いったんその場からいなくなった。たぶん車を搬送するための応援作業員か何かを呼んでくるのだろう。

ここでふと思い出したのが、G県に実家があるW氏一家のことだった。地元で商店をやっているということは知っていたが、その裏家業として違法な中古車の売買もやっているという根拠不明の話を聞いたことがある。もしかするとこの男はW氏の父親だということもあるかもしれない。だとすると、応援作業員としてW氏がやってくることも充分あり得るが、この場で対面したらお互い気まずいのではないか。そんな考えから、近くの物陰に隠れ、男が戻ってくるのを見守ることにした。

男は作業着を着た数人の作業員を従えて戻ってきた。彼らのやろうとしていることの善悪は別として、いったい車をどうやって運ぶのかということに自分は興味があった。合い鍵みたいなものを使うのか、あるいはレッカー車のような車で運ぶのか、それとももっと別の方法があるのか。

彼らの取った方法は「分解して運ぶ」というとてもシンプルなものだった。乗用車を手際よく工具で分解して、手で運べるくらいのパーツにばらして持ち運ぼうとしている。車ってそんなに簡単に分解できるものなんだ、というのが目からウロコだったのだけど、何よりもその手際の素早さと鮮やかさには、目を見張るものがあった。誰かの車を盗難することはもちろん社会的には悪なのだろうけど、彼らの持っている分解技術をよりよく生かす場がどこかにあるように思えてならない。

見事な作業に見惚れつつ、作業員の中にW氏らしき人物がいるのが確認できた。W氏は分解したパーツをまとめて運ぼうとしていたが、一度に持つパーツが多すぎたようで、非常に苦戦しているのがわかる。それを見ていた義理の弟は、W氏にすっと近づいていくと、細目の丸太を手渡した。丸太にパーツをくっつけて運べば楽になると考えてのことらしい。ちょっとよくわからないような理屈ではあるけれど、実際W氏が荷物を運べるようになっていたので結果オーライなのだろう。W氏は見知らぬ人物からの手助けにお礼をしつつ、こちらの存在に気付いたようだった。

W氏は無邪気というか純粋なところがあって、物事の善悪とかにあまり頓着せず、人から頼まれたら喜んでやる感じがある。そこが危ういところでもあり、周りの環境に恵まれればとてもよいのだけど、ちょっと悪い奴らに利用されたりしてしまいそうな感じもある。というような感じを思い出したりした。


起床。ひさびさにそれなりのボリュームのある、というか思い出しやすい夢を見た気がする。ところどころの場面にフックがあるので、それが目印となって記憶をたどりやすくしているのだろう。