地下へ続く階段の夢
love-neniye
腰の近くまでの草が生い茂っている広い草原にいる。30メートルくらい先には、白くて長い髭を長老らしき風貌をした男が立っている。自分にはその男が有名な学者だという認識がある。走ってその男のいるほうに走ってみるが、茂みの中に消えてしまったのか、どこにも見当たらない。
場面は冷凍した魚を出荷している魚の卸市場のような場所に変わっている。マグロや、解体されたクジラ、見たこともない深海魚らしきものなど、いろいろな生き物だったものが冷凍され、トラックの積み込み口まで床をツーっと滑って運ばれていく。
そんな光景を間近で見つつ、今自分が進むべきは地下だということを自覚していた。作業所の脇にあるドアを開けると、地下に向かう階段がある。さらに地下に下っていくため階段の前には透明な仕切りがあり、簡単には進めないようになっていた。
見たところ、施錠されたりしているわけではなかったが、紐のようなものが穴から出ていて、こちら側と向こう側をつなぐ鍵になっているようだ。紐は一般にロープと呼ばれるものよりは少し細く、スーパーボールがくっついて——というか穴の空いたスーパーボールに紐を通してあるのだろう——出っ張っている部分がある。紐にはそんな節点が二つあった。
地下に向かう階段を進むにはこの紐をうまく外して進む必要があるが、節点の膨らみを利用すればいい、ということに思い至る(その「開け方」については具体的な方法は覚えていないが、習熟していたようで問題なく開けられた)。
ただし、ここを通った痕跡を気付かれないように、トリックを仕込まなければならない。なぜそんな風に思っていたかといえば、このプロジェクトを秘密裏に進める必要があったから、という感触は残っているが詳細はよくわからない。気付かれないためのトリックの仕込みに想定外に手間取ってしまったが、なんとか無事に先に進めるまでにはなった。
進もうと思った矢先、地下に続いている階段の下から大柄の初老の男が出てきた。「何でもうまくやろうとせずに、そのままを受け入れる必要もある」と言う。これはさっきの紐のトリックが見破られてしまっていることを示唆しているとも思った。しかし、彼と一緒にいた彼の息子らしき人物を見ると、そうではないと気付いた。彼には先天的な病気があるのだという。当時適切な処置がされたのかどうか知る術はないが、話を聞く限り、病気そのものよりも周囲からの偏見や扱いに相当不満があったことが伺われる。
起床。ちょっと重苦しい感じの内容だったけど、よく寝たと思う。
眠っていた電動ミルを棚から出して、久しぶりにコーヒー豆を挽いてコーヒーを飲んでいる。お湯を沸かして、豆の重さを計って、ミルで挽いて、ドリッパーにセットして、お湯を注いで抽出する、という一連の儀式のほうが、もしかしたら風味や味よりも大切なんじゃないかと感じたりした。やはり焙煎したての豆のほうがお湯を注いだときの膨らみ具合がよい。炭酸ガスの含有量の違いだとかで、味を楽しむなら焙煎してから時間を置いたほうがよい、などと書かれていたことを読んだこともある気がするが、結局この膨らむときの感じが一連の作業の中でピークにあって、珈琲を飲むのはそのおまけに過ぎないようにも思える。